2017年8月24日

社会福祉法人一麦会 麦の郷ハートフルハウス創

Filed under: 働く,和歌山県,相談する,集まる・つながる — Kokushi @ 11時56分16秒

調査票は支援機関が記入。
答えの[ ]内および設問に[調査員が聞き取り]とあるものは、
支援機関への聞き取りをもとに調査員が記入。

Q.団体名
社会福祉法人一麦会 麦の郷ハートフルハウス創
Q. 主な活動場所
和歌山県紀の川市粉河853-3
[JR粉河駅から徒歩1分。看板が目印ですというより古い大きなお屋敷でわかると思います。ただ、公共交通機関は本数が少なかったりする30分に1本程度ようなのでその点はご注意ください。]

  
Q.他の活動場所
和歌山市紀の川市尾崎79-1
 Q.活動内容に関して
 

活動内容 活動時間
(曜日・時間)
費用 利用の際の注意事項等
居場所 火曜~土曜(10:00~16:00) 無し 要登録
軽作業 水曜日(13:00~16:00) 無し 登録制 時給250円
カフェ勤務 木金土(9:00~17:00)
希望の日数・時間
無し シフト時給は売上によって変動
しゃべくろ会 月1回 無し 登録制
女子会 月1回 無し 登録制
相談・訪問 随時(火~土 9:00~17:15) 無し 基本事前予約
 Q. 利用の際の条件など
手帳の有無や年齢制限など特に条件はありません。
 Q. 活動理念など、活動をする上で大切にされていることについて
 私たちは、支援者/被支援者という関係ではなく、ともに働き、学び、知り、今を生きる生活の協働者です。「支援者である」という、支援者優位のアイデンティティで関わるのは無く、それぞれがお互いに自然体での関わり、その中から生まれる協働を創り出したいと思います。
創では、今まで分断されていた「人と人との繋がり」をつくることを大切にします。そして、その繋がりを創り、地域の中で繋がりを感じながら仕事を行う場を創設します(中間就労の場*1)
*1 私たちが考える中間就労の「中間」とは、福祉的就労と一般就労の中間ではなく、「一般雇用関係」と「自営業」の中間であるという事を考えのもと運営・経営を共に考えて行きます。
 Q.スタッフの人数(代表者含めスタッフ的な役割の人の数)
男性 女性
40代 2人 1人
  Q. 専門資格・免許など
特になし
 Q. ホームページ
http://hajime-cafe.jimdo.com
 Q. SNS等
Facebook https://www.facebook.com/hajime.cafe
 Q. メールアドレス
muginosato-hajime@live.jp
 Q. 電話番号・FAX番号
0736(60)8233
 Q.最初の相談者の割合について
属性 割合(%)
本人 65%
25%
親以外の家族 2%
その他 13%
Q. 上表「その他」とは
市町村行政機関・保健所・相談支援事業所
 Q. 本人が参加する場の雰囲気、本人と接する空間の雰囲気について[調査員が聞き取り]
登録者は23人(2017年8月現在)です。各自が自分で選んで、居場所・軽作業・カフェなどの活動に自由に参加できます。
ボードゲームを最初は創のメンバーだけでやっていましたが、様々な人とボードゲームを行いたいとという気持ちが高まり一般の方にも参加してもらえるように「和歌山ボードゲーム遊戯会」をつくり、月に1回活動しています。参加者は20人ほどで「ひきこもり」という枠を超えて老若男女、国籍も問わず、さまざまな方が参加してくれています。場所は山崎邸で開催しており、会の代表を創に参加している当事者が担っています。
   
・自由記述
 社会福祉法人一麦会(麦の郷)は1996年に不登校ひきこもり者支援を具体的に始めました。立ち上げのきっかけは、96年以前からも麦の郷が立ち上げてきた共同作業所で「ひきこもり」といわれる存在である若者たちを作業所で受け入れ共に働く活動を行ってきたこと、そして、不登校・ひきこもりの課題は地域でも「ほっとけない」ことであったためです。96年当初の活動は、学齢期を過ぎたひきこもり者ではなく不登校の中学生が活動の中心でしたが、2009年より和歌山県事業である3ヵ所目のひきこもり者社会参加支援センター事業の委託を受け事業を開始しました。メンバーとスタッフの最初の仕事は、麦の郷ハートフルハウス 創~hajime~という名前を考えだすことでした。メンバーたちは、創の一文字に(HaJiMe) HeArt JoIn MovEという「こころを繋げて動き出す」といった想いをつめ込んでこの活動をはじめました。
麦の郷ハートフルハウス創(以後 創)では、次のような活動を双方向的に行っています。相談活動(訪問を含む)では日常の不安や困りごとの相談はもちろんのこと、本人・家族からのお話を定期的にお聞きしどのような機関が関われば良いかといった検討と各専門機関(障害者相談支援センター等の福祉機関、クリニック医療機関等々)の調整を行います。
活動では、気軽に立ち寄れるゆっくりと過ごす居場所の活動と集団で話し合うことや企画したことを遂行する自治的活動。仕事活動としてコーヒー焙煎・販売・会議やまつり等で店頭販売、豪商が所有する築100年の古民家を若干改装した古民家カフェ「創カフェ」 の運営を行っています。
相談・居場所・仕事の流れは双方向的なアクセスがあり、かつ、それぞれの活動に語りの必要があると思います。語りたい自己との出会い、語りたい個人との出会い、語りたい集団との出会いが保障されることで初めて就労への道筋が見えてくるのだと思います。語りの最初の場面である相談場面では、支援者との信頼関係が無ければ当たり前に相談は成り立ちませんし、居場所の中では、レクリエーション等の企画を共に出し合うことで、自己と他者を認め合う関係を紡ぎ共感関係・集団自治を育みます。
働く活動であるコーヒー作業、店頭販売、カフェの運営では調整力を養います。自己と他者の関係の調整、仕事を行うときに必要な流動性への対応や調整を本物の仕事の中で学びます。よって私は就労訓練や就労体験では本物の就労の経験とならないと考えます。それは体験や訓練では仕事の中で得ることが出来る「認められ感」や「任される役割感」や「仕事に対する対価(現金収入)」そして「仕事の大変さとやりがい」を得ることが出来ず、本物の仕事の経験とはならないと考えるからです。
就労訓練では、社会人としてのモラルやマナーや職業を訓練させ当事者を社会に適応(あわす)ことが目的なのでしょうか、就労訓練の目的はいったいどのようなものか甚だ疑問が残ります。一定期間の訓練を終了し就労に向かえばその取り組みは成功と評価され、しかし、それでも就労に至らなかった場合の責任は、本人の資質に問題があり自己責任とされる構造にあると私は考えます。若者たちがひきこもりという経験がある中で自己尊厳も自己肯定感も失われ、「ひきこもる自分は社会からの落伍者で自分自身が悪い」と一番感じてしまっている、そのような心理状態の中で訓練や適応を強いることで、さらに当事者を追い詰めることになると思います。私たちは、訓練し適応を求めたり体験だけを行う「見せかけ」の就労支援ではない、本物の仕事を準備したいと思います。若者たちが仕事の経験値を貯め仕事を通じて自己肯定を育むことが就労支援の最大の目的だと考えます。
就労支援は「繋がり」づくり、仕事おこしは「まち」づくりです。その中で働き収入を得たメンバーは必ず夢を語り出します。私たちはメンバーたちの夢を創るそんな場を目指したいと思います。
 Q. 山崎邸で活動するようになったきっかけ[調査員が聞き取り]
ハートフルハウス創(以下、創)創は、「社会福祉法人一麦会 麦の郷」を母体としています。2007年に麦の郷をモデルにした映画「ふるさとをください」のロケ地として粉河が選ばれ、その街づくりにも関わるようになって山崎邸を知りました。山崎邸は大正時代に建てられた文化財建造物です。その持ち主にダメもとで、使用することをお願いすると快く許可してくれました。雨漏り修繕、耐震構造や厨房施設等は、国や民間の補助金を利用して行いました。以前からコーヒー焙煎を作業としていたことから、いつかカフェをしたいという想いがあり、山崎邸内でカフェをオープンすることが出来ました。また、山﨑邸を展覧会に貸し出したりしています。調査時も、アート展が開催されていました。
 Q. カフェに関して[調査員が聞き取り]
 内職のような単純作業ではなく、「かっこいい仕事・あこがれの職業」をつくろうということで始めました。飲食店をはじめるにあたりスタッフも含め全員初心者だったので、カフェのコンセプトやこだわり、給料形態やメニュー等々みんなで話し合って決めてきました。始めたころは設備も整っておらず、いきあたりばったりで活動しながら改善してきました。2年前から大手ホテルでの経験もあるシェフを法人職員として雇用し調理を担当してくれています。当事者自身も各自の持ち場で活躍してくれています。あくまでも、カフェで働くのは希望者だけです。
カフェに来るお客さんは、最初からひきこもり支援をしていると知っている方は少なく、店に入ってからそれを知って相談につながるという場合もあります。活動の中でカフェが目立っていますが、あくまでも創の活動の中のひとつという位置付けです。
 Q. 和歌山における支援の現状[調査員が聞き取り]
和歌山の紀の川筋にそれぞれの居場所的な活動があり、当事者は複数の場所に関わっている場合もあります。団体の支援者同士は年回くらいの連絡会がありお互いみなれたもの同士ですが、当事者同士の横の交流や活動はなかなか形つくっていけていない現状があると思います。「当事者会」というのが少ない。
・ 調査員感想
どうしても山崎邸やカフェが目立ちますが、あくまでも居場所を基盤にしているようです。カフェや作業は強制参加ではないのですが、周囲が働いていれば、自分もしなきゃという焦燥感を感じる人もいるかもしれません。また、調査当日が特別だったのかもしれませんが、人の出入りが激しく見知らぬ人がいっぱいいる状況は出始めの人にはつらいかもしれません。ただ、慣れてくれば同じメンバーが働いていることや強制的にでもいろんな人に会うという状況がいい刺激になることもあると思います。むしろ、大学や地域の人々との積極的な交流を実施しているようなので、いろんな人に会うことを推奨しているみたいです。
また、和歌山県は当事者会が乏しいようなので、この団体の当事者さんがその結節点となることを期待しています実際に会を作るような動きもあるようです。(調査員1)文化財としての壮観な建物山崎邸に驚きました。内装も外観を活かしたリフォームになっており落ち着いた雰囲気で、「支援機関」というイメージを覆すものです。まだまだ利用可能性が残されており、ひきこもり・若者支援という文脈に限定せず利用者がスタッフと一緒になってこの施設の活用についてを考えているとのことです。
母体が福祉法人ということもあってか、利用者の今の段階ステップを見立てて支援をつないでいくということについては、スタッフの専門性がとても高いと感じました。一方でそれだけではなく、この「建物」という資源を使って利用者と一緒になって何かをつくりあげていくという、支援―被支援といった向き合う関係ではない、共に並んで歩んでいく伴走型の実践にも果敢に挑戦しているというのがとりわけ印象的でした。(調査員2)

(最終更新日:2017年8月24日)


コメントはまだありません

No comments yet.

RSS feed for comments on this post.

Sorry, the comment form is closed at this time.

Copyright © 2015-2017 「社会的」ひきこもり・若者支援近畿交流会.All rights reserved.