2019年4月10日

NPO法人 教育相談おおさか

Filed under: 大阪府,学ぶ,相談する,集まる・つながる — Kumono @ 20時19分12秒

調査票は支援機関が記入。
答えの[ ]内および設問に[調査員が聞き取り]とあるものは、
支援機関への聞き取りをもとに調査員が記入。

Q.団体名
NPO法人 おおさか教育相談研究所
Q. 主な活動場所
大阪府大阪市天王寺区東高津町12-14
[地下鉄谷町9丁目駅、近鉄大阪上本町駅11番出口から徒歩2分。周辺は歓楽街で、人が多いです。専用の駐車場はありませんが、近くに「タイムズ」(時間貸駐車場)があります。]
 Q.活動内容に関して
 

活動内容 活動時間
(曜日・時間)
費用 利用の際の
注意事項等
相談室での相談 月曜~金曜
10:00~18:00
土曜
9:00~17:00
事業活動協力金として、1時間メドで3000円 なし
訪問 随時 同 3000円
学習支援 随時 同 3000円
家族交流会 随時 1回300円 当法人相談来談者の家族の交流会

[訪問は極めてまれですが、随時しています。学習支援も同様です。最近いろんな機関とつながるようになってきて、学習支援のニーズが多くあることも分かってきました。元教員の特徴を生かしていきたいです。また、当法人に相談された方と相談中の方を対象に家族交流会隔月に開催し、定着してきています。]

 Q. 活動理念など、活動をする上で大切にされていることについて
 相談は登校拒否・不登校、社会的ひきこもりが中心であるが、学校生活や進路の問題も含めて相談に応じている。当法人の相談統計から見える最近の特徴は、小中学生の登校拒否人数が急増していること、高校生も相変わらず多い。さらに20歳代のひきこもりが相談中最も多く、また30歳代以上の相談が増加している。つまり、小中学校、高校、20歳代、30歳代以上の各年齢層に分布が広がっている。その原因について、研究所として分析も行っているが、小中学校の子どもたちをとりまく教育と生活環境が貧困と格差の問題、学力テストを始めとする競争と管理の教育によって学ぶ喜びが奪われ、それが校内暴力の増加にも表れ人間関係が崩れる状況にあること、また登校拒否から社会的ひきこもりへの移行や、社会参加から退避せざるを得ない若者など、子ども若者の生きづらさがいっそう深刻になっている。この事態を打開しない限り、登校拒否、ひきこもり問題はさらに深刻さを増すであろう。当法人は、子ども若者の困難の原因となっている教育と社会環境の改善をはかり、未来に希望ある生き方が可能となるよう努力し活動している。
 Q.スタッフの人数(代表者含めスタッフ的な役割の人の数)
男性 女性
70代以上 2人

 相談員は元小学校・中学校・高校・特別支援学校の退職教員26名。臨床心理士の資格を持つ人もいます。

 Q. スタッフプロフィール
・当研究所理事長・相談員:大阪府公立中学校立教員、大学非常勤講師を歴任
・当研究所監事・相談員:元大阪府立高校教員、大学非常勤講師を歴任。
[設立1985年から30年以上のベテラン相談員もいる。元教員で構成しているので他のNPOとは違う特徴があり、その特徴を生かすことを考えている。各NPOの持っている特色を生かしながら連携していくことが大事で、学校現場に役に立つような機関であるよう活動している。
 学校の先生方は多忙のなかで子どもたちに向き合う時間が困難になっているもとで、学校における登校拒否・不登校問題の対応について、NPO教育相談が手助けになればという思いがある。教育現場の多忙化緩和のために教育条件の改善、少人数学級や教員の定数増のための活動も行っている。
 2016年に発行した学校の先生方の調査協力を得て「登校拒否・不登校の対応についてのアンケート調査報告」も全国的な評判のもとで普及に努めている。]
 Q. ホームページ
http://kyoiku-sodan.main.jp
 Q. メールアドレス
kyoubun@minos.ocn.ne.jp
 Q. 電話番号
06ー6762ー0232 火曜、金曜 14:00~18:00
 Q. FAX番号
06ー6768ー2527
 Q.最初の相談者の割合について
 

属性 割合(%)
本人 5%
90%
親以外の家族 5%

 学校の先生が来られるときもあります。また、「親以外の家族」は、祖父母が孫についての相談や、おじ・おばの来談などがあります。

 Q. 参加・利用している本人の特徴など
 活動理念でも述べたとおり、年齢は学齢期から40歳代まで広範囲にわたっている。男女比率ではほぼ7:3と男性が多い傾向が続いている。
  当法人では、学校での学びが面白くない、楽しくない、人間関係が難しくなっていると考えている。校内の荒れも大阪が全国で一位と、欲求不満やストレスを子どもたちが攻撃的に発散したり、学校生活から退避することになっていると思われる。小中高生、とりわけ中学生の相談の増え方に留意していく必要がある。社会的ひきこもりの問題もさらに困難を増している。30代以上のひきこもり相談など、今まで特徴といわれてきたことが我々の相談データからもいえる。
 Q. 本人が参加する場の雰囲気、本人と接する空間の雰囲気について
 相談室は安心して相談ができるように、相談員の態度、言葉遣いにも留意している。ただ現在の相談室は狭く、広い場所の確保が課題である。
[写真は外観と相談室の様子です。]

外観

内観 相談室

 Q. 参加・利用している家族・親の特徴など
 相談来談者は主に母親ですが、両親で来られる場合もあります。
 教育相談おおさかの紹介リーフレットやホームページを見た方、「登校拒否を克服する会」の交流会に参加して知った方、新聞に記事や催し案内が掲載され、それを読まれた方、2014年から始めた府内の市・地域における「講演と相談会」で継続して相談を希望される方など、当法人を知る機会が増えるに伴って、当法人の存在が知られるようになってきています。
 Q. 家族・親が参加する場の雰囲気、本人と接する空間の雰囲気について
 上記の「本人が参加する場の雰囲気」と同じです。
 家族が最大の援助者であることを相談の基本に、家族は相談員と共同の援助者となることを目的に相談を進めています。家族の悩みを解消し、当事者にとって家庭が安心・安全の場となるよう、親・家族のみなさんの気づきや変化を相談の目的に置いています。
 登校拒否・不登校、社会的ひきこもりの家庭は世間的にも孤立を深めていくため、親の交流会である登校拒否を克服する交流会」や「地域交流会」、教育相談来談の家族による家族交流会への参加をその都度案内しています。家族同士が悩みを率直に話し合うことは大変重要です。
 相談員も大阪や地域の交流会、毎年の全国交流会に参加して相談活動に活かすように努めています。
 Q. 学校関係、行政、近所の人など、その他の利用者について
 教育相談おおさかの事業に、府内各地で行っている「講演と個人相談会」に地域の交流会世話人、学校の教職員、社会福祉協議会、保健所、民生委員など幅の広い参加が広がってきています。
 「講演と個人相談会」の準備と広報活動で、学校現場、行政、地域の支援機関などとの関係も次第に深まり開催地域での教育相談おおさかの存在が次第に知られるようになってきている。活動拠点の大阪市に於いても、2019年度は市からの本事業に対する助成も得られるようになりました。
Q.活動を始めたきっかけ[調査員が聞き取り]
 「大阪教育文化センター」の事業として1985年に「親と子の教育相談室」が発足しました。学齢期及び高校生の子どもの相談が中心でしたが、10年前ごろから社会的ひきこもりの相談が次第に増加し、20歳代の相談が各年代のなかで一番多くなってきました。相談室だけで解決するのは困難であり、本人の回復状況によって次の支援機関、あるいは就労につながる道などの関係の支援機関と連携していく必要に迫られてきました。
 そこで、相談活動を基本におきながら法人資格を持って活動の幅を広げることとし、2012年4月に大阪教育文化センターから独立して法人格に移行しました。
Q.大阪で特徴的な問題[調査員が聞き取り]
 教育の問題では、とりわけ大阪では全国学力テスト成績の学校ごとの平均点競争、問題行動の程度を5段階に分けて指導するなど、テスト漬けの競争と管理の教育が進行しています。生徒にとっては学校が息苦しく友だち関係もつくりにくく、学びの楽しさが奪われています。こうした状態が、校内暴力の発生件数、中学校の不登校生がともに全国一位となって表れていると考えています。
 それに先生たちも競争管理教育のもとで多忙を強いられています。何より必要なことは教育行政が競争管理の教育を改め、少人数学級で先生が子どもと向き合う時間を確保するなどの教育条件を改善することが喫緊の課題です。
 さらに、子どもの貧困問題も大阪ではとりわけ深刻です。朝食をとらないで登校する子ども、ひとり親家庭の子どもに対して、学校では関係支援団体とつながって援助について努力されています。当法人も貧困問題についてネットワークの運動に参加しています。
Q.不登校とひきこもりへの対応について[調査員が聞き取り]
 登校拒否・不登校は上でも述べたように競争と管理強化の教育、子どもたちの生きづらさが進行しています。しかし忍耐も限界を超えそうになると、自らの身を守る為にその場から退避します。その行動は誰もが持つ自己防衛の本能であり、登校拒否の発現となります。しかし、本人は心は学校へ行かなければとの意思を持っていて、心と体の不一致に葛藤し、苦しんでいる状態におかれます。
 一般的に不登校とよばれる状態は、以上のような背景が本人の生きづらさを強めて、心と体の不一致の原因をもたらせていることから、登校拒否と呼んでいます。一般的に不登校の用語が使われていることから私たちは登校拒否・不登校と表現しています。
 ひきこもりは一旦社会に出たが、働く権利や個人の人権を無視したパワハラやブラック的労働環境のもとで、登校拒否と同様に自分の身を守るために社会参加から退避せざるを得ない状況に追い込まれます。しかし、本人は社会に復帰しなければならないとの意思を持っているが体が動かない。本人の葛藤の苦しみは登校拒否と同様です。
 また、ひきこもりが登校拒否からの移行のケースもかなり見られます。小学校から高校までは学校へ再登校という戻る場があるが、ひきこもりの場合は学校との関係がなくなると戻る場所がなくなります。
 登校拒否・不登校の本人への対応は、子どもが苦しみから少しでも楽になるように家庭が安心でき、安全な場所となる居場所となることです。そのために、親は今の子どもの状態を受け入れ、「この子はこういうように考えているのか」と共感的に分かろうとする立場に立って援助者となることが必要です。親は「ああしなさい、こうしなさい」と指示や「こうしてみたら」と先回りして子どもを動かそうとするのではなく、子ども本人が持っている回復力が発揮できるような援助が重要です。本人が回復力を発揮できるようになれば社会参加への道が開けます。安心感が膨らめば感情表現が自由になり、自己回復力を発揮して社会参加を考え始めます。こうした適切な対応と援助が果たされれば、登校拒否からひきこもりへの移行も防げるようになります。
 ひきこもりも社会的背景が主な要因で、社会参加から退避した状態であるから登校拒否の教育問題の背景と同様に社会的です。ひきこもりが社会参加からの退避と同時に社会復帰の意思を持って葛藤している状態を指すことから、私たちは「ひきこもり」を「社会的ひきこもり」と呼んでいます。
 私たちは以上のことから相談員と共同して、親や家族が本人への援助者となるように援助することを相談の基本に置いています。ひきこもりの相談は回復状態を見つつ、社会につながるスモールステップも考える必要があり、そのために、他の支援機関との連携を深めて居場所や中間就労への道が開けるように努力しています。
Q.活動の三原則とは[調査員が聞き取り]
 相談員は次の3つに原則として参加するようにしています。
 第1に、月一回の相談員(正会員)による相談員会議。会議と併せて相談事例の交流や協議を適宜行っています。
 第2に相談活動を始めたころから長期にわたって高垣忠一郎先生が相談の事例研究会にスーパーバイザーとして今も務めて頂き、相談力量の向上に努めています。
 第3には、「登校拒否を克服する会」(親のみなさんによって構成)主催の大阪の交流会や地域の交流会、全国の交流会、教育相談家族交流会に参加し、親のみなさんの悩みなどを聞き、相談活動に活かせるよう相談員の研修と力量向上のために参加しています。
 Q. 今後の課題・目標など[調査員が聞き取り]
 相談員は退職教員で構成されており、相談員の高齢化が問題となっています。早期の退職者が相談員となって理論と実際を研修し、相談活動の力量を高めて継続していくことが課題となっています。
 相談員が他の支援機関や団体との関係にも関わることも重視しています。ボランティアに近い相談員の僅かでも財政的な保障や、専任スタッフの人件費等、安定した相談室運営のための財政問題が困難な課題です。行政からの安定した制度としての助成を期待したいです。
 ・自由記述
 活動理念でも述べたように、子ども若者の生きづらさの背景は教育と社会の問題にあります。ここにメスを入れない限りこれらの問題は解決しません。教育・社会環境がますます子ども若者を苦しめる状況にあるとき、登校拒否や社会的ひきこもりはさらに増加が懸念されます。私たちは各支援団体の個別の支援活動をネットワーク的に連携し、社会や政治にアピールしていくことが必要だと考えています。
 また、いずれの支援機関も財政問題に常に直面しており、私たちの活動においても、さらに余裕のある広い場所の確保、事業活動のための安定した財源確保が課題です。個別事業への助成もありがたいですが、財政援助を制度として確立するよう、ひき続き行政と国へ要求していく努力が必要です。
・ 調査員感想
 「大阪教育文化センター」は「たかつガーデン」の4階にあり、このNPOの相談室はそこから徒歩1分のビルにあります(「Q.活動を始めたきっかけ」にあるように、現在は独立して活動しています)。相談員は元教員なので、教育や学校の現状への理解に努めつつに対する思いが強いが、相談はとても親身な相談を行っています。相談員は高齢者なので親との対応には慣れているでしょうが、若者については当事者との年齢のギャップで対応しづらくなっていると思います。そこを補うために事例研究等を行っているのだろうし、若者にも協力を得て、子どもたちの行きづらさを解消しようというバイタリティがあります。

(最終更新日:2019年4月10日)


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