2017年8月1日

特定非営利活動法人 神戸オレンジの会

Filed under: 兵庫県,学ぶ,相談する,集まる・つながる — Kokushi @ 10時39分51秒

調査票は支援機関が記入。
答えの[ ]内および設問に[調査員が聞き取り]とあるものは、
支援機関への聞き取りをもとに調査員が記入。

Q.団体名
特定非営利活動法人 神戸オレンジの会
Q. 主な活動場所
兵庫県神戸市兵庫区羽坂通4丁目2-22
[JR兵庫駅から徒歩約5分。ビル一棟全てを神戸オレンジの会で使っている。1Fには神戸市から受託している神戸市ひきこもり地域支援センター「ラポール」があり、2Fには応接室やパソコン部屋、喫煙ルーム、3Fに卓球台やゲーム類の置かれた居場所があり、4Fには陶芸用の焼成炉や、和室やキッチン、相談用の応接室があります。]
 Q.活動内容に関して
 

活動内容 活動時間
(曜日・時間)
費用 利用の際の注意事項等
居場所 火曜~土曜 11:00~18:00 神戸市民は無料(他市町の方はお問い合わせください) 概ね20歳以上の方 まずはお問い合わせください
家族会(親の会) 主に第4日曜 午後 入会金1万円 月会費6千円 まずはお電話にてお問い合わせください
心理カウンセリング 月2日 1日3コマ 家族会員千円 会員外5千円 お電話にて要予約
医療相談 月1日 1日1コマ 家族会員千円 会員外5千円 お電話にて要予約
理事長の個別相談 月2日 1日3コマ 無料 居場所利用者・家族会員限定
神戸市ひきこもり地域支援センター「ラポール」 火曜~土曜 10:00~18:00 無料 神戸市からの委託事業のため、神戸市民限定
神戸市ひきこもりサポーター養成講座 全10回/1年 無料 神戸市からの委託事業 詳しくはお問い合わせください

[神戸市在住でない当事者は利用に家族会と同じ費用がかかります。費用の金額は家族単位です。在住の市町村から許可が出れば無料になることもあります。ただし、精神的疾患や障がいがなく、ひきこもり状態であるというだけでは許可がおりることは稀なので前例はないとのことです。

・居場所について
居場所はほぼ毎回イベントが催されています。
カレンダーは毎月固定のプログラムと、突発的なイベントを組み合わせて1カ月ごとに製作されています。料理dayが1番人気です。

・心理カウンセリング、理事長の個別相談、医療相談について
時間は心理カウンセリング、理事長の個別相談の1コマは約50分、医療相談の1コマは約30分。
利用者は卒業するタイミングを自分で決めることができます。また、卒業後のフォローアップとしてOB,OG会的な集まりもあります。
医療相談は精神科医が行っています。相談内容としては「精神科医療を受診することが有効かどうか」や「セカンドオピニオンに行く際に、あらかじめ相談する事項を整理しておく」といったものです。ただ、精神科医が行っているといっても、いわゆる医療行為である「診察」ではなく、医療行為ではない「相談」であることに留意して欲しいとのことです。

・神戸市ひきこもり地域支援センター「ラポール」の活動について
神戸市在住の方のためのひきこもりの1次相談窓口。H21年から神戸オレンジの会が神戸市より受託しています。全年齢対象で、ひきこもりかもで相談していただいてかまわないとのことです。
電話やメールでの相談、予約の上で行う月1回50分の来所相談が可能です。

・神戸市ひきこもりサポーター養成講座について
参加者は当事者の親やひきこもり経験者が多いですが、受講は神戸市在住・在勤・通学の方なら誰でも可能です。
傾聴などのテクニック的なものを学んだり、ひきこもりに対する理解を深める講座も行いますが、主に“当事者の存在を肯定する”ことを学ぶことを主としています。]

 Q. 利用の際の条件など
手帳は持っていても、持っていなくても構いません。年齢は概ね20歳以上。
 Q. 活動理念など、活動をする上で大切にされていることについて
 ひきこもりについては、【ご本人がその人に合った形で、人・社会とつながること】と、【経済的基盤を確保すること(制度・サービスも活用して)】が大切だと思います。神戸オレンジの会では特に【ご本人が人とつながる場】として、居場所活動を行っています。
居場所は「いつ来てもいい、いつ帰ってもいい」「毎日来てもいいし、何か月かに1回でもいい」「プログラムも、参加してもいいし、しなくてもいい」といった、ゆるい感じでやっています。この方が参加しやすいと考えているからです。
ひきこもりは、誰かを求め、その人とつながり、誰かから求められ、その人とつながることで終わると思っています。
神戸オレンジの会の居場所が、そういう場になればいいと思っています。
 Q.スタッフの人数(代表者含めスタッフ的な役割の人の数)
男性 女性
20代 1人
40代 2人 1人
50代 4人
60代 2人 1人
  Q. 専門資格・免許など
社会福祉士・精神保健福祉士・保健師・産業カウンセラー
  Q. スタッフプロフィール
 もともと「ひきこもりの子どもを持つ親」が集まって作った会です。
現在の代表者は、ひきこもり経験はありませんが不登校の経験があり、社会福祉士と精神保健福祉士の資格を持つ者が務めています。
スタッフは、ひきこもっている人を家族に持つ人や、専門的な勉強をした後、ひきこもりに関心があって参加した者たちです。
 Q. ホームページ
http://www.kobe111.jp/
 Q. SNS等
Facebook https://www.facebook.com/npokobeorange
 Q. メールアドレス
kobe.orange@gmail.com
 Q. 電話番号・FAX番号
078 (515 ) 8060
 Q.最初の相談者の割合について
属性 割合(%)
本人 60%
40%
 Q. 参加・利用している本人の特徴など
 居場所を利用されている方の年齢層は、20代~40代までいらっしゃいます。男性が9割女性が1割です。
居場所では、テレビゲームをする人、ボードゲームをする人、麻雀をする人、おしゃべりする人、陶芸をする人、パソコンでネットを見てる人、静かにマンガを読んでる人、何かの勉強をしてる人、などなど様々です。
 Q. 本人が参加する場の雰囲気、本人と接する空間の雰囲気について
 すごくキッチリ片付いている、というよりは、なんかいろいろ置いてある、という感じですね。もともと家族会なので、支援機関雰囲気としてはゆるい感じだと思います。

 Q. 参加・利用している家族・親の特徴など
 家族会は、母親の参加が多いです。年齢層としては、50代~70代の方が多いです。父親の参加は少ないです。
そのかわり、理事会は父親が多いです。年齢層は母親と同じくらいです。
きょうだいの方の参加はまだ少ないですね。これからご参加頂ければと思っています。
 Q. 家族・親が参加する場の雰囲気、本人と接する空間の雰囲気について
 基本的には、なごやかな雰囲気ですが、親の会では辛い話も出てきます。神戸オレンジの会はもともと親の会から始まっている自助グループなので、辛くても親御さん同士が気持ちを支え合っていけたらと思っています。
今のところ、ご本人達と親御さんが交流する機会は少ないです。もう少し増やしていければと思いますが、親御さんがご本人に根掘り葉掘り尋ねると、ご本人が辛くなるだろうし、加減が難しいと思います。
 Q. 学校関係、行政、近所の人など、その他の利用者について
 神戸市や兵庫県のひきこもり行政に携わっている方々と意見交換する機会があります。
また、神戸市から受託している「神戸市ひきこもり地域支援センター ラポール」には、学校関係者やご近所の方、行政の窓口の方などからもご相談があります。
 Q. 名称について[調査員が聞き取り]
現理事長は創設者ではないので「伝聞では」とのことでしたが、「ひきこもりは未完(みかん)の大器→ミカン→オレンジ」というところからのネーミングらしいです。
 Q. 活動時期について[調査員が聞き取り]
 平成11年より活動を開始。平成13年から現在の場所へ。平成13年には神戸には既にフリースクールがあった。しかし、利用者は20才ぐらいで卒業となるので、そこを卒業した後の行先がなく、卒業後に無理やり働かせるのは有効ではないとの見解に至り、社会と関わることに不安を覚える若者の社会と深く関わるまでの、ワンクッションの場にしたいとの思いから始まった。(頂いた資料を参考に)
 Q. 利用者さんへの聞き取り[調査員が聞き取り]
Aさん
大学を卒業後すぐに就職したが、幹部候補としてごく短期間に様々な部署を周ることとなり疲弊し、休職。うつ病と診断される。その後ひきこもりの期間も経て、他支援機関の紹介で神戸オレンジの会を知る。
「ここにはアニメやゲームといった共通の趣味を持った方が居て、話ができる。」とお話して下さったのが印象的でした。

Bさん
小中学校でいじめ被害に遭い、不登校になる。19歳の時にカウンセラーの紹介で神戸オレンジの会を知る。この折カウンセラーからは「同年代の人がたくさんいる」と言われたが、来てみたら「年上ばかりで完全に詐欺だと思った」とのことで、振り返って笑いながらその話をしてくれた姿が印象的でした。
「ここには一緒にアニメや声優の話ができる方が居て、同じ興味を持つ人同士で友人宅に泊まって、一緒にお酒を飲んだりすることもある」とのことで、居場所での付き合いが、居場所の外にも広がっている様子を感じることができました。

Cさん
ひきこもっていた時期に母の知人からいくつかの支援機関の情報を聞き、その中で最も近かった神戸オレンジの会に来所。
人数の少ないパソコンルームと、比較的人の多い見学時には最大で6名の方が利用メインの居場所スペースとを、使い分けて自由に過ごせることは良いことだとのお話をして下さいました。現在はお仕事の残業で来所時間が遅くなり、人の多い部屋にはあまり行かないとのことでした。
本人の気持ちの状態によって、様々に使い分けができる部屋を持っていることが、神戸オレンジの会さんのひとつの強みなのかなと感じました。

・ 調査員感想
 神戸オレンジの会は親の会を原点とする支援機関です。4階建ての鉄筋コンクリートのビル1棟まるごとが居場所という面白い特徴を持っています。地域活動支援センターや、ひきこもり支援センターを神戸市より受託する事で、スタッフの人件費や設備費、賃借料等の運営費をまかなっています。NPO法人ですので内閣府のホームページから過去年度の全ての予算書等の書類を閲覧することができます。今回の聞き取り調査では、ここで理事長を務める方に約90分の聞き取り調査を行いました。
理事長さんは昭和40年代後半生まれの男性で、現在社会福祉士・精神保健福祉士として神戸オレンジの会の支援現場に自ら立たれています。とりわけ印象的だったのは、終始朗らかな態度と口調の中で、神戸オレンジの会の「何もしなくても、ただ居ていい居場所」を守り抜くために、強い信念を持たれて実践されているということが感じられるいくつかのお話でした。「利用者に掃除や片づけをしてもらうかどうか」について、スタッフ内で議論になったというお話は、そのことを象徴するエピソードの一つです。この議論の中で理事長さんは「ここでは「訓練的」なことは一切させない」と、強く主張して、ルールにしてしまうことを防いだと言います。「訓練的なことを別に批判するつもりはない。ただそれを望むなら、他にやっているところがいくつもある。うちではやらせない。」ともお話されていました。動詞が「やらない」ではなく、「やらせない」というところにも、この「ただ居ていい」居場所を維持するために、支援者の立場から不断の努力をしていることが感じられました。
また年末年始、お盆の時期を除き、1日6時間、週5日火土必ず開いているというのも大変魅力だと感じます。 一方で、この居場所に通うためには原則として会費6千円/月家族単位が必要で、初年度は年会費1万円を含めると8万2千円年かかります。
オレンジの会さんの側では、神戸市から補助金を活用する事で、神戸市内在住の方にはこの負担額をゼロにしており、とても素敵なことだと思いますが、居場所が魅力的である分、通える可能性が家庭の経済事情≒家庭環境や居住地という部分によって差が出てしまうことは、悩ましいことだなと思いました。理事長さんは調査員からの「これからの活動の展望ビジョンについて」の質問に、「絶対的に、こぼれ落ちている、助けが届いていない人の方が多い。」と今のひきこもり当事者の置かれている状況を分析し、その上で、「自分にはひきこもっている人の悩みはわからない。当事者じゃないのだから簡単にわかるはずがない。本人が悩みに悩み抜いていることが、経験の無い自分に簡単に分かるはずがない。」と言います。そして「そんな自分が簡単に訪問なんてできるはずがない。それはわかっている。が、それでも、探したいし、ノックだけはしたい。そうしたいと思っている。今はまだ私自身や社会が本人たちに繋がる力が足りていないのでこぼれ落としてしまっているが、丁寧にノックをする人が沢山いる世の中にしていきたい。それがソーシャルワーカーのプロとしての自分の想いだ。」と、深く葛藤しながら話をして下さいました。(調査員1)

理事長の人柄や組織の方針により、活動に参加することが社会適応訓練に位置づけられていないので、ちゃんとしなければ!と気負う必要もなく、自身が利用したり当事者・経験者に紹介をする際、安心してできる場所だと思った。
利用者登録をし続けている限り最大週5日、6時間も施設を利用できるのは、就労したら自動的に“卒業”してしまうところと違い、当事者の悩みをよく理解してくださっていると感じた。
兵庫駅から徒歩5分で、駅周辺にレンタルショップや本屋があり、安価でランチを食べられるお店もあるので(wifiも無料で利用可能)、活動的になった人にとっては施設だけでなく立地的にも申し分ない半面、駅から向かう経路の中には人通りの少ない場所があまりなく、人の多さや街の雑踏が苦手な人、しんどい人にとっては通うのに難儀するかも。
冬は六甲おろしが吹きすさび、道中はとても寒い。
年7万2千円の利用料をいまの自分が払うことは難しいので、自分が神戸市に住んでいるか、別の市町村に住んでいても、親の理解をしてくれて、利用料や交通費その他諸々を負担してくれるのなら、是非とも利用したいところだと思った。(調査員2)

(最終更新日:2017年8月1日)


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